Vol3.「楽しい一歩」を踏み出すとき

それぞれの「楽しい一歩」を踏み出すときがきていると思います。

-つながりやつないでいくことは『リユース! ジャパン プロジェクト』が考えるリユースに通じるものがあります。
番組作りの視点からどのように感じられますか?

ユース(REUSE)の「RE」の精神は『LISTEN.』にも共通しています。
『LISTEN.』の目的は、テレビ放送に限らず、世界の宝でもある映像記録を、より多くの人とシェアしたいということです。何度でも再編集して、地球のライブラリーとしてその感動をどんどん共有したい。このプロジェクトは5年目になりますが、継続は力なりの精神で続けてゆきたいです。映像の権利や責任の所在がテレビ局や大組織だったりすると、それを再利用しようとすると、複雑な手続きが発生して次に生かせないということが今まで多々ありました。一期一会の貴重な映像が、組織内の書類的都合で再利用できないという現実。それはある種の「罪」なのではないかと思いました。

テレビに関わる者として、映像を次から次へ使い捨てるような罪は、もう二度と繰り返したくないなと心に誓いました。大切に収めた貴重な一瞬なのですから。
だから自分自身で立ち上げた『LISTEN.』は、私の責任において、映像を再編集して何度でも「リユース」してゆけるのです。リユース、リサイクルは、もはや世界の常識ですよね。世間に顔向けできないような、こそこそした撮り逃げや使い捨てには絶対に関わりたくないと心に決めています。「リユース」の道は、百年先、千年先の未来にも誇れるような、かめばかむほど味の出るホンモノを目指す道でもありますよね。

山口智子氏

-すばらしいお考えですね。見習わないと。テレビに関わる山口さんの「RE」に対する決意、意志はすごくよくわかりました。では私人としての山口さんが心がけていることはなんでしょう。

慢しながらの倹約は、なかなか長く続かない。でも自分の好きなものにとことん責任を持つことなら続けてゆける。だからものを手に入れるとき、一生をかけてそのものと添い遂げられるか、愛していけるか、真剣に自分の心に問います。でも、手っ取り早く手に入らないものもあるし、それなりの値段もする。しかしよく考えてみれば、明日あさっての目先の結果ではなくて、はるかなまなざしで未来へ誇り伝えたいものを求めるなら、手入れしながら孫子の代までずっと使ってゆける。日割り計算したら超お買い得かもしれない。箸でもお椀でも服でも、いい素材のホンモノは決して裏切らないからうれしい。

ずっと伝承されてゆくいいものには、先人の知恵が詰まってますよね。例えば、素材を呼吸させながら生かし続ける知恵。滞らない空気や水が清らかなように、大きな自然の一部として、孤立せずエネルギーを行き交わせることですよね。

でもちょっと急がないと、美しいものはどんどん消えゆく現実です。私たちの「知ろうとしない」という無知が、そのスピードに拍車をかけています。『LISTEN.』でさまざまな地を訪れては、「間に合ってよかった」という思いに駆られます。経済重視のスピードの中では、うかうかしていると、かけがえのないものが続々と消えゆくかもしれないことを肝に銘じて、ちょっと急いで本気で取りかかっています。
それぞれがその責任を楽しみながら、楽しい一歩を踏み出すときがきていると思います。

-そうですね。楽しい責任、楽しい一歩、いい言葉ですね。私たちも楽しく責任を果たせるようにがんばりたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

山口智子氏

代表取締役社長 宮坂との記念撮影

山口智子氏 BS朝日 『LISTEN.』

未来に伝えたい美しい音楽文化を追う映像シリーズ『LISTEN.』
2014年秋 南インド、グルジア、アイスランドを巡る新エピソード放送開始。

公式サイト(外部リンク)

Photo:Takaaki Tsukahara