第二回遠山正道さんトークショー

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まず私自身、古着が好きだったんです

遠山 私は今、PASS THE BATONというリサイクルショップを東京の丸の内と表参道ヒルズでやっています。リサイクルショップって私は言っているんですけど、自分で言うのもなんですけど、一見するとヴィンテージとかしゃれたヨーロッパの街角にあるような、そんな感じのお店です。

なんで始めたかということを簡単に。まず私自身、古着が好きだったんですね。古着って一点もので面白いじゃないですか。あり得ないようなものがあったり。
ちなみに、今日、古着を着てきました。これは、うちのPASS THE BATONで買ったコートなんですが、30年ぐらい前のコートらしいです。それにプリントをその場でシルクで刷るっていうイベントをそのときやっていたので、コートのお尻に、オノ・ヨーコとジョン・レノンのお尻を刷りました。

これも新品のコートだったら、多分なかなかそういうことはできないと思うんですけど、リユースの価格的にもお手頃なものなので、こういう遊びもできる。これも古着の魅力というか、新品でやっても作為が出てくるから、こういうのがあるのが古着の魅力だと思っています。それが一つ目。

いい感じの世界観のところが、存在していなかった

遠山 始めた理由。二つ目は、リサイクル。
今回のフリマみたいなイベントは私も好きでよく行きますけれども、こういうのと、それから一方で、例えばピカソの絵がサザビーズで50億円で落札されるっていう、あれも誰かのピカソの絵がもう自分はいいかなと思って、売ろうと思って、誰かが50億円で買うわけですよね。

だから、仕組みとしては一緒。今日、このイベント会場のフリーマーケットでお出しになっているものと、ピカソが50億円で売れるのと、同じ仕組みなんだけれども、全然違う。
その間にもうちょっと、何ていったらいいのかな、われわれセレクトをしているんですが、セレクトリサイクルショップなんですけれども、いい感じの世界観のところが、ぽっこり存在していなかったかなと思って、それをやってみようと思ったんですね。

ビジネスでやるときに意義っていうのをすごく大事にしているんです

遠山 三つ目は、リユースっていうことの、もともとの意義があるっていうことです。
ビジネスでやるときに意義っていうのをすごく大事にしているんです。ビジネス大変ですよね。なかなか、うまく行かないし。売り上げとか評価はいただくのだけど、最後に利益が出るかどうかっていうのは残念ながらまた別問題で、PASS THE BATONにしても、なくなっちゃうタイミングなんて、いつでもあり得た感じなんです。だけど、意義があるからこそ踏ん張って、粘ってやっているうちに、ようやくビジネスとしても成立するっていう、そういう感じ。

ただかっこいいだけとか、なんか売れる、もうかるらしいとかいって始めたものって、もうからなかったら、もうかってないじゃないかっていうことで、なくなっちゃいますし、赤字出してでもやっているときには、なんでやっているんだっけって。いや、かっこいいからとかって、理由にならないんですよね。だから、われわれはやりたいことと、それから意義みたいなことを大事にしています。それがないと、なかなか難しい。

そういうことで、このリユースっていうのが、われわれPASS THE BATONにとってもすごくいい根っこのところになっています。

物のストーリーを添えて出品していただいてるんです

遠山 そんな三つが重なってできたのが、PASS THE BATON。特徴の一つは、個人の方には顔と名前とプロファイル、そして物のストーリーを添えて出品していただいてるんです。

リユース、いろんな理由あると思います。もう要らないからって出すごみ寸前みたいなものもあるかもしれない。でも、うちはとても気に入っている思い出深いものなんだけど、残念ながらもうサイズが合わなくなっちゃったので、仕方なく出品しますねとか、そういういろんな物の背景を添えて出していただくんです。

そうすると、実際にウェブなんかでは、その人の履歴とか、その物のストーリーが全部、ゆっくり見られるので、その出品者にお客さんが付いてくるんですね。自分と同じサイズだったり、価値観が合う出品者が居ると、その人が出品するとすぐに欲しくなるみたいな、個人の出品者にファンが付いてくるような感じです。

見た感じは普通のワンピース実はこれモテ服で、これを着て3回告られました

遠山 ストーリーがあると、同じものでもなんか違って見えます。例えば、普通のワンピースだったんだけど、見た感じは普通のワンピースなんだけど、これ実はモテ服で、これを着て3回告られました、なんていう話があったりして。そうすると、急にそのワンピース、ちょっと価値が出てきたりとか。

エルメスさんとか、ブランドさんともいろいろやっておりまして、わりとフランスの企業がこういう意義をよく理解してくださって、過去の商品をまたうちで再販するとか、ちょっとB品みたいなものをうちで販売する。例えば、アディダスさんのときは、B品に上からちょっとペイントをして、リメークして作ったりしています。

Pass the Personal Culture, New Recycle, Pass the Baton

遠山 PASS THE BATONのコンセプトを読みます。

東と西、北と南の風土の違いは価値であり、しかし、摩擦の種でもある。
国ごとの文化の違いは価値であり、しかし、戦争の種でもある。
企業ごとのプロダクトの違いは価値であり、しかし、過剰な競争の種でもある。
その争いの結果、物は過剰に溢れたり、過剰に消失し、社会にも地球にも負担をかけてきた。
ならば、国や企業を越えて、個人の文化の違いに価値を見いだしてはどうだろうか。
それぞれ培った個人の文化をお互いに尊重し合い、交換し合う。新しいものを創造するのも良いし、既にあるものを大事にするのも良い。
既にある誰かの技術、今の私の価値、将来の誰かにとっての大事。
Pass the Personal Culture,
New Recycle,
Pass the Baton.

一人一人にそれぞれカルチャーも、歴史も、 世界観も、見立ての力もある

遠山 ブランドさんとかが毎シーズン出してくる、ファッションってシーズンごとに新しい価値観を出していって、常に新しいものを出してくっていうことをやっていきますけれども、私は古いものも十分いいんじゃないかなって思います。あるいは、そのブランドさんのものだけじゃなくて、個人にも一人一人にそれぞれカルチャーも、歴史も、世界観も、見立ての力もあるので、そういう個人の一人一人の世界観の持っている、それを交換するだけでも十分すてきなものがあるんじゃないかな。

むしろシーズンごとにどこでも売っている洋服よりも、いつか誰かがピックアップしてった、もう二度と手に入らない、そういったような一人一人の見立てによるものを交換していくことのほうが、むしろ面白いんじゃないかなって、そういう世界観があるんじゃないかなと思って始めました。

イメージの話なんですけど、地球儀があって、もし物が集まる所が赤く光る地球儀が仮にあったら、地球上で日本って最も赤く光っていると思うんですね。
その日本の赤いのを薄く地球上にピンクに伸ばしていく、そういうイメージ。われわれのブランドカラー、薄いピンクになっているんですが、そのようなイメージからです。

リユース品って 大変なんですよ

遠山 リユース品って大変なんですよ。一点ものだから、簡単にいえばビジネス的には手間がかかるんです。
例えばウェブでやるときも、一点ものをちゃんと白いスタジオで撮影して、一個一個染みがないかとか、サイズを測って、そうやって用意して3000円とかいうと、あまり割に合わないっていうか、そういうようなことってあるんですけれども、それをちゃんとやっている。

例えば店頭でも、表参道の店は1万5000点の一点ものがあるんですけど、毎月棚卸しするだけでも大変です。一点ものって大変なんだけど、でも、その分ビジネスのほうの仕組みをうまく考えながら、ようやく今年4年目で何とかビジネス化するようになってきました。

リユースはより楽しいことにつながっていく

遠山 今回、ヤフオク!さんがリユースを推進することっていうのは、われわれにとってもすごくいいことだし、選択肢みたいなの広がっていく。あんまり環境、環境とかいうことだけじゃなくて、買う楽しさとか、そういうことも含めて、非常にいいことだなと思っているので、われわれもまた一緒になって進めていけたらなと思っております。

ちょっと宣伝っぽいですけど、PASS THE BATONは東京に店がありますけど、ウェブで見て購入もできますので、ぜひ参加していただければ。リユース品を買うっていうことも、リユースの一つの参加の仕方になると思います。

それから、東京のお店で出品を受け付けておりますので、ぜひ物のストーリーを添えて出品していただけたらうれしいなと思います。

リユースすごくいい、何ていうのかな、環境とかいうことだけじゃなくて、より楽しいことにうまくつながってくと思うので、皆さんで盛り上げられたらなと、本当に思っています。

  • 遠山正道1985年三菱商事株式会社入社。2000年三菱商事初の社内ベンチャー企業、株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。食べるスープの専門店「Soup Stock Tokyo(スープ ストック トーキョー)」、新しいリサイクルショップ「PASS THE BATON(パス ザ バトン)」、などを展開。