第一回オープニングトークショー
リユース! ジャパンマーケットを開催することになった経緯について教えてください
川邉
リユースというのはなかなか浸透してそうで浸透していない概念です。物を大切にするということと、自分は不要になったかもしれないその物を、他に必要としている人が居るかもしれない。
その人との交流が楽しい、そういうコンセプトですね。
これまでは、自分はこの物を必要ないものを必要としている人がいるかもしれない、その人と出会うことが難しかっただけですよね。
今はインターネットがあったり、あるいはブックオフさんみたいなそういう仕組みを持った会社があるので、捨てるという発想ではなく循環させる社会に進歩させていきたいと強く思っています。
Yahoo! JAPANでは99年からリユースをしたいという人の心にかなったサービス「ヤフオク!」を提供しています。
会社全体としてリユースの文化を日本に浸透させていきたいと思っています。
なぜ福岡で開催することになったのですか
川邉
Yahoo! JAPAN、あるいはその親会社であるソフトバンクは福岡に縁があります。
もともと創業者の孫正義が九州出身というご縁もあって、2005年にソフトバンクホークスになったときに、Yahoo! JAPANドームということで、ドームの運営に携わらせていただくことになりました。
そして昨年の2月にYahoo! JAPANドームをリユースの聖地にしようということで、ヤフオク!ドームに改名しました。
この1年間で徐々に皆さまからヤフオク!ドームという名称を愛していただけるようになってきました。
またヤフーのデータセンターやカスタマーサポートセンターが福岡と北九州にあり、われわれの中核の地帯でもありますので、ここを起点に、リアルのリユースの聖地にしていきたいと思っています。
会社全体としてリユースの文化を日本に浸透させていきたいと思っています。
不要な衣類は年間約7億着。これはヤフオク!ドーム、約150杯相当ということですが、実にもったいないですよね。
川邉
残念ながら、インターネット上の買い物というものが、日本全体のリアルも含めた買い物のまだ10パーセントぐらいしかありません。
古着も年間でこのヤフオク!ドーム150杯以上のものが出ているにも関わらず、それがリユースに回ってるのが約30パーセントということですので、Yahoo! JAPANとしてはヤフオク!に加えて、イベント等を開催するなどさまざまな形で日本のリユース率を上げていきたいと考えています。
リサイクルとリユース、どんな違いがあるのですか?
坂本
リサイクルとリユース、よく混乱する方がいますが、リサイクルはペットボトルとか空き缶など1回形になったものがもう1回原料になってまた生まれ変わるというのがリサイクルです。
リユースは、今あるものをそのまま次の誰かそれを必要とする人に使っていただくことです。
リユースのほうが、より環境に優しいと考えています。
自分はいらないけど次の人が必要になったりとか、自分がいつか使うかと思って取っとくけど、実は今すぐそれを使いたい人が居るというときに、それをつないでいくという、物を単純に売ってお金をもうけるというよりは、自分が大事にしていたものを、誰かにまた使っていただけるというのがすごく楽しいところですね。
リユースの点で先駆けとなったのは、やはりブックオフですよね。
松下
ブックオフは今年で24年目になります。
本から始めて、今、洋服や、バッグ、スポーツ用品など、いろいろ広げています。物を捨てないで済むということは、すごいいいことで物が循環してく、そういう場所に僕らのお店がなれたらと思います。
最近はラブユーズドといって、ユーズドが面白い楽しいということを発信しています。
お店で働いている僕らも楽しいし、お客さまにも楽しんでいただきたいという思いでやっています。
リユースというのが本当にどんどん広がっていったらいいなということを思っています。
今日いろんなお店で出展されているさまざまなメーカーのいろんな色の品物。一点一点が本当に個性がある。
その個性あるものを選んで自分で身に着ける、そういうおしゃれをしていく人が増えているなと思います。
お店にいるときもおしゃれな人がどんどん増えてきていることを実感しますね。
今回のイベントでは古着が入場チケットになるということですが、古着はその後どんなふうに使われるのですか?
坂本
皆さんからお預かりした古着は、皆さんの気持ちをつなぐところに使いたいと思っています。
今回ブックオフグループのハグオールさんに協力いただき、皆さんから預かった古着を査定して、その金額を全部寄付します。物自体はヤフオク!であったり、ブックオフグループさんと一緒に次に必要とする人に売っていこうと思っています。
今回の寄付は、単純にお金を寄付するというより、皆さんの気持ちが形になるようなものを考えました。
ツリーハウスっていうのはご存じですか?
時々写真とかで見たことあると思いますが、木の上に家のような小屋のようなものがあり、そこに登って秘密基地みたいに遊んだりできるツリーハウスを作る団体に寄付をしたいと思います。
皆さんよくご存じの糸井重里さんが、今復興支援をやっている東北にツリーハウスを作ろうというプロジェクトを発足しているので寄付をして、ツリーハウスという形にしたいと思っています。
東北の人たちが楽しんでもらえるようなツリーハウスができればと思っています。
糸井さんは現在東北に100のツリーハウスを作るプロジェクトを立てていらっしゃるということなんですが、これはどういったところからそういった発想につながったんですか?
糸井
みんな「忘れない」っていう言い方をよくしますが、やはり忘れるんですよ、人間は。
現地に居る人も忘れる。
忘れたくて生きているみたいなところありますから。
そんな中で、東北でいろんなことを助けてくれた人が、長く遊んでいこう、一緒に仕事していこうと思える計画を立てて行き来がずっと続くよう、東北にもっと来てもらえるような理由を作りたいと思いました。
今、海のほうはまだ復興できてないですが、山のほうに目を向けたらどうかと思っているときに、「そうだ、子どものときから木があったら、ツリーハウスって作りたかったな」ということを思い出しました。
ツリーハウスをたくさん作れば、みんながオリエンテーリングみたいに、20あったら20のところ全部見ていきたいとか、あるいはスポンサーが付いて、あるツリーハウスでは宣伝が行われるとか、いろんな使い方があると思ったので100作るって言ったら何年かかるかわかりませんけど、みんなのいろんな遊び方があると思ったんです。
例えば、大学対抗のツリーハウスがあったり、あるいは企業がツリーハウスを作ったり、そういうことが徐々に行われると、東北に行ってくれる人がツリーハウスを見に遊びに行ける。
それから作りに行ける。
それから地元の人たちも、みんなが来てくれるのを、どうやってもてなそうかと考えたりできる。
そういうことができると思い、まずは始めてみようということで、「東北ツリーハウス観光協会」を作り、地元の人たちと一緒に現在、1軒半できています。
ツリーハウスプロジェクトに賛同してくれる人たちがいるので、3つ4つは確実に作る予定ですが、このプロジェクトはまだ社会に伝わってないですから。
ここの会場もそうですけど、リユースといっても、まだ伝わってないですから。
でも、来年はリユースのこのイベント会場も、ツリーハウスも満員になると思います。
これから先を長く遊ぶためのおもちゃだと思っていただければいいなと思っています。
糸井重里コピーライター、エッセイスト、タレント、作詞家
松下展千ブックオフコーポレーション株式会社 代表取締役社長
川邊 健太郎ヤフー株式会社 副社長
坂本 孝治ヤフー株式会社 ヤフオク!カンパニー長
- ※肩書はトークショーの行われた2014年1月現在のもの