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リユース スペシャルインタビュー

「物流」+「リユース」
運送会社三代目社長の挑戦

インタビューメインビジュアル

運送会社はモノを運ぶ会社。その既成概念を崩し、「いらない人とほしい人をつなぐ架け橋」となる物流を目指し挑戦しているのが、株式会社ウインローダー(※1)の代表取締役社長、髙嶋民仁氏。その仕組みの中心となるのが、同社が運営するエコランド(※2)による「エコ回収」。家庭で使わなくなった家具や家電製品をエコ回収し、リユース、リサイクルまでを行っています。

モノを運ぶ運送会社が、リユースに取り組む理由

運送会社の三代目に生まれ、自分は将来この物流業界の仕事に入るのだろうとなんとなく思いながら育ちました。大学に進学し銀行に入行したのですが、90年代の規制緩和により運送会社が増え競争が激しいという背景と、バブルが弾けて物流業界が右肩下がりであることは認識していました。
そんな中、ボランティアで土日に街の清掃をしたことからリユースに興味を持ちはじめました。そして、運送会社として商品を運ぶだけでなく、もう使われなくなってしまったモノも「商品」として運ぶと、今後の物流業界は変わるんじゃないかと思いました。家の中を見ると使っていないモノがたくさんあって、それらをうまくリユースマーケットに乗せられたら、われわれ物流業界にとってもプラスになるのではないかと思い、銀行を辞めました。

髙嶋さん

「エコ回収」の仕組み

使わなくなった家具や電化製品などをご自宅に引き取りに伺います。それらは自社オークションサイト「エコオク」に出品され、落札された場合は50%をキャッシュバック、もしくは環境・社会貢献団体へ寄付することもできます。
落札されなかった場合は自社のエコランドのリサイクルショップで販売するほか、海外の方が需要のあるモノは海外に送りリユースにつなげています。一部はヤフオク!にも出品しています。
どうしてもリユースできなかったモノは資源としてリサイクルすることで、エコ回収したモノを100%無駄なく再利用しています。

リユース率の向上を目指し海外展開へ

エコオクで落札されるのはエコ回収した全体の約2.5%が現状です。国内で使用済みのモノの20%から30%はリユースされているというデータもあります。われわれがエコ回収したモノのリユース率も、自社の店舗だけでなく、国内のリサイクルショップなど他の店舗でも販売し、20%から30%まであげることを目指していきます。
それでもまだ、残りの70%から80%のモノが流通されずリサイクルにまわってしまいます。それがもったいないと思っていたとき、たまたま東南アジアから来ていたバイヤーにそれらを売ってほしいと言われ、「ほしい人」の新しい需要に気づき、日本では流通しにくい婚礼家具や大型家具をコンテナで送ることになりました。

倉庫に集められる大型家具

国ごとに違うリユース事情

7年前は本当に売れるのかと思いながら東南アジアへの輸出をはじめました。その後、それらが実際に売買されているフィリピンのオークション会場に行ったのですが、すごく活気があったんです。このマーケットなら、日本では流通しにくいモノもたくさんの人にリユースしてもらえるということを実感しました。家具の中には、雑貨類や衣類、食器類を詰めて送っていますがこれもとても喜ばれています。
どんな方が使っているのだろうかとフィリピンの家庭に見に行ったことがあります。ちゃぶ台が使われていたり、囲碁盤はイスやオットマンとして使われていて、日本人では思いつかない使い方ですよね(笑)。
同じ東南アジアでも国ごとに必要とされているモノが違います。マレーシアでは古着が流通し易く、マレーシア経由でパキスタンなどに流れていきます。逆にフィリピンは自国の繊維産業を守りたいということもあり古着を入れるのは難しいです。
また、マレーシアは宗教上、多くの人が豚肉を食べないので、日本からの使用済みの食器は買わない人もいます。

東南アジアで利用されるリユース家具

リサイクルできないモノから生み出す「リアライズ」

リサイクルで資源化するのも難しく廃材になってしまうモノは、デザイナーによってリメイクし「Re-arise(リアライズ)」として家具やアクセサリーに再生しています。
合板は粘着剤が入っているため、10年くらい前、当時の技術ではリサイクルし原料化するのが難しい状況でした。だからといって捨てるのももったいなく、美大に行き廃材にせずにその素材からアートを作りたい学生を募集したのがはじまりです。いろいろ面白いモノができ、この応接室のテーブルもリアライズ家具です。古いキーボードやたくさんのキーがガラス板の下に埋め込まれています。
廃材からデザインを生み出すのって、人の知恵でできるのでワクワクしますよね。新しいモノを作ることも難しいことだと思いますが、捨てずにモノに光をあてるのってクールなことだと思います。

リアライズ家具

地域との交流、リユースイベント

物流センターは広い敷地なのですが、休みの日に地域の方に活用していただきたいということからイベントを企画することになりました。地元の方に運送会社の人間に触れてもらう機会をつくりたいという思いもありました。地域でダンスや空手などが行われていたのですが、その発表の場がほしいという意見を聞き、トラックをステージに見立て発表会を行いました。すると地域の方や、お孫さんやお子さんの発表の姿を見るためたくさんの方が集まってくださりました。
それならせっかくだし、フリマをやってみよう、リアルオークションをやろう、子供向けに廃材でアクセサリーを作るワークショップをやろう、とアイデアが広がっていきました。 きっかけは物流センターに触れてほしいということだったのですが、リユースを体験していただく場にもなったように思います。年に数回、このようなイベントを開催しています。

物流センターで開催されるオークション

今後、物流会社が築く未来のカタチ

運送会社はこれまで「生産者と消費者を結ぶ架け橋」でした。今後、運送という本来の世界もあると思いますが、今後の新しい未来となると「いらない人とほしい人をつなぐ架け橋」になるのに運送業としてできることがたくさんあると思っています。
それは、国内のみならず、世界でできると思っています。例えば、世界の裏側ではこの瞬間にも難民の方が毛布やテントが欲しいと言っている一方、日本ではそれらが捨てられています。そういういらない人とほしい人のマッチングは、世界には70億人もいるのですからきっとできるはずです。情報技術(IT)の力を活用し、これだけグローバルになっているのだから実現すると思いますし、もう実現しているのではないかと思います。あとはインフラの話で、それを物流会社として現実的に担えることがあると思っています。

運送屋は運ぶだけ、倉庫屋は預かるだけ、という人が思う既成概念だけでなく、もっと違う枠組みで業種や規模を越えてボーダレスに、みんなで新しい未来、豊かな社会をつくっていこうということになれば、少しずつ未来は変わっていくのではないかと思います。

髙嶋 民仁

髙嶋 民仁 株式会社ウインローダー 代表取締役社長。
慶應義塾大学法学部、慶應ビジネススクールを卒業後、株式会社東海銀行に入行。退職後は、公共事業需給市場プロジェクト立ち上げに参画。株式会社ウインローダー取締役環境事業部長に就任。その間、米国North Carolina州Waste Industries社で管理者としてインターンを受ける。
阪神大震災および台湾大震災ではボランティア活動に参加。東京都臨時清掃職員として廃棄物回収にあたった経験もある。
現在は、株式会社ウインローダーにおいて物流業界に環境分野の新しいマーケットを創造すべく日夜活動を続けている。

リユースについて知ろう

※1 株式会社ウインローダー
1950年運送会社として設立。2001年よりリユース、リサイクル事業に参入し、2004年からは「エコランド」を展開。
http://www.winroader.co.jp/

【大型家具 無料引取サービス】大型家具を処分する際の費用、運搬の課題解決としてヤフオク!と連携し、一部ブランドの対象家具を無料で引き取るサービスを実施している(地域限定)。(http://topic.auctions.yahoo.co.jp/promo/hikitori/furniture/
※2 エコランド
2004年より事業スタート。株式会社ウインローダーが運営するエコランドは、少ないモノで美しく暮らすライフスタイルのエコシフトをサポートしている。その中心となる「エコ回収」サービスは、2009年グッドデザイン賞を受賞。リサイクルショップ、独自のオークションシステム「エコオク」などのサービスでリユースを促進し循環型物流に取り組んでいる。
http://www.eco-land.jp/
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